バドミントンのクリアショットは、コートの奥から相手コートの奥まで返すときに使うショットです。バドミントンを始めたばかりの人は「飛ばない」「後ろに入るフットワークができない」と一番課題として上げることが多いのがクリアショットです。
クリアーショットはシングルスでもダブルスでも攻めのクリア、体勢を立て直すクリア、相手を動かすクリアなど、いろんな意味を持って使えるので絶対習得したいショットですよね。
小学生のうちはクリアがしっかり奥まで返せる子、追い込まれて返せさえすれば勝てる!なんてこともあります。もうすぐ試合に出るんだ!という子は、「サーブ」「ヘアピン」「クリア」さえ打てて、返すことができればラリーが成り立つと思います。
ただ、間違っても「飛ばないから良くない」「飛ばないからへたくそ」「飛ばないから負けるんだ」なんて言うのはやめましょう。見るポイントは、正しいフォームで振れているかです。成長するにつれて筋肉が付き、自然と飛ばせるクリアに繋がっていきます。
バドミントンにおけるクリアの重要性とは?
クリアはラリーを作る上で必ず必要となってくるショットです。相手をコート奥に追い込むことや、体勢が崩れてしまったからラリーをリセットするため、などクリアの使い方は様々です。小学校低学年のうちは試合でも、相手を前後に動かすことを意識すると思います。また、相手のラウンド側を狙って打つことも多いでしょう。
【初心者・低学年向け】クリアの足の位置と正しいグリップ
グリップは常に「イースタングリップ」で握りましょう。画像のように小学校低学年のうちは目印をつけてあげることもおすすめです。
スイングを始める前に半身になり、右利きの場合右肘を肩の高さまで上げ、左腕をシャトルの飛んでくる方向に向けて上げます。この時上げた左腕にとても力を入れる子がいますが、力は入れません。自然な形で腕を上げてバランスを取るイメージです。
スイングに反動をつける為に右腕を後ろに引き、重心を右に移し(右利きの場合)シャトルが飛んでいく方向に向けておへそを向けるよう、体の回転を入れていきます。
右手を後ろに引き、身体にタメを作りスイングを始めますが、シャトルがラケットに当たるインパクトの瞬間に向けて、右肘から前に出すようにスイングして重心を左足に移し、シャトルを良く見ながらヒットさせ、しっかり左手を体の前に持っていきます。
フォロースルーでは、ラケットのグリップをしっかり握ってスイングを止め、手首を外側に向けて返すイメージです。
正直言葉で説明しても難しいので、見て学ぶことが一番良いと思います。
子どものうちは特に、あの子ができてたから、あの子みたいに、と周りの真似をすることで成長スピードがとても速くなります。できない子ばかりのチームでは指導者が率先して見本を見せる、もしくは1人でもしっかりできる子を育ててあげることで、全体のレベルアップにも繋がります。
【初心者・低学年向け】基本的なクリアーの打ち方の流れ
手投げで練習→ラケットで上げてもらい打つ→クリアの打ち合い、で進めていけたら良いかと思います。コート外での練習も大切にし、以下のような練習も行ってみましょう。
■素振り
オーバーヘッドストロークの素振りは何度も何度も繰り返していきましょう。
■タオルを振ってみる
スポーツタオルの端を持ち、ラケットを振るように振ります。タオルが真っすぐになるよう振れたらOKです。
■ぶら下げたシャトルを打ってみる
シャトルに糸をつけて、高いところからぶら下げます。用意が難しいようであれば、小学校の体育館にあるバスケットゴールの下に立ち、網に当てるように振っていきます。
クリアーの打ち方の練習でつまづきやすいポイントは?
①シャトルを見てない&半身になれていない
インパクトの瞬間は必ずシャトルを見るようにしましょう。打つ瞬間におへそを前に持ってきて欲しいのですが、打つ前に体が正面を向いてしまっています。それでは手打ちとなり力が伝わりません。
②肘を引きすぎる
一見、上手に構えているように見えますが、腰を捻り、肘を引きすぎています。見本としたいのは【投球フォーム 正面】と検索して出てくる野球選手の投げ方です。体全体を使ってしなりを作る投げ方は、バドミントンのオーバーヘッドストロークとも似ています。実際野球部やソフトボール部の子は、体育で行うバドミントンの授業ではオーバーヘッドストロークの打ち方がとても上手です。
③左手でバランスを取れてない
フォームのバランスを取るために「ラケットを持っていない方の手」の使い方はとても重要です。左手を上げて右ひじを引いて打ったあとは、右肩と左肩が体の中心に集まるように動かすことでインパクトの力を強めることができます。
もう一つ意識して欲しいのが、手首が折れた状態からスイングを始めようとすることです。このスイングをすることで肘が上がっているように見えますが、力の伝わり方が分散されること、インパクトのポイントがズレやすいです。
4つのポイントを意識して練習してみましょう。オーバヘッドストロークの打ち方は自分で治しづらいので、鏡に向かって振ってみる、スマホで撮影してみる、などをして自分の体の動かし方に違和感がないか確認するのもおすすめです。
おすすめクリアの練習方法
①シャトル筒投げ
この名の通り、シャトルの筒を投げます。シャトルの筒の端を持ち遠くまで飛ばしてみましょう!ボール投げの練習にもなります。チェックポイントは縦回転で飛んでいるか(横回転だと腕を真っすぐ振れていない可能性があります)筒を離すタイミングは最適か(離すのが早いと上に向かって飛ぶ、遅いと床にすぐに落ちる)その場で上手に飛ばせるようになったら、サイドステップから飛ばす練習をしてみましょう!
「イチ、ニ、で投げます」サイドステップの二回目で投げるイメージです。きちんとサイドステップでの助走が、投げる動作に伝えられるといいですね。
②タッピングからのクリア
既にクリアが打てる子はこの練習を取り入れましょう。ホームポジションでタッピングをし、指導者や親が手を叩きます。それに反応して後ろに下がってクリアの素振りをします。注意点はタッピングの時に肩幅に開いた足の膝が、中に入らないようにすることです。また手を叩いた瞬間に反応すること、反応した時に床を強く蹴って、蹴りだしを速くすることを意識しましょう。
クリアの打ち方はこちらの動画で確認▼
まとめ
クリアは飛ばすのが難しいショットです。大人の方で「クリアをどうにかしたい」に対してはいろいろなアプローチ方法があると思いますが、小学生低学年では【ある程度飛ぶ】状態で良しとする考えも必要です。youtubeでもABC大会Cクラス(小学1.2年生)の試合が上がっているので、一度目にして見本として考えてみましょう。どうしても日本代表選手や指導者である大人のように打ちたい!という欲が出がちですが、子どもは子どもなりに「できている」状態を目指していきましょう。
持ち方、振り方、重心の移動を意識できていれば、飛んでなくてもすごいことです!
KOKACAREバドミントンスクールコーチ。小学生からバドミントンを始め、岡崎城西高校・早稲田大学・豊田通商バドミントン部で活躍。インターハイ準優勝、インカレベスト8などの輝かしい成績を残している。2児の母として、子育てをしながら、コーチとして、今までの経験を活かし、『できた!!』が溢れるレッスンを心がけている。
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